FP2級の法令基準日と2026年度の改正点
FP2級は、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継、金融資産運用など、法令や税制の細かい内容を扱う分野が広い試験です。制度の数字を少し古い教材のまま覚えていると、計算や正誤の判断でずれが出ます。このページでは、「いつの時点の法令で答えるのか」という法令基準日の見方と、2026年度の受検で確認しておきたい改正点を、公的な出典つきで整理します。試験全体の流れはFP2級の全体像にあります。
ここに書いた数字と日付は、2団体と官公庁の公式ページを開いて確かめたものです。取り上げるのは主な改正点に絞っており、網羅はしていません。
法令基準日とは?FP2級の問題が拠りどころにする日
法令基準日は、出題の正解を「どの日に施行されている法令で判断するか」を決める日です。公式の案内にある考え方は、次のとおりです。
- 考え方:試験問題は法令基準日時点ですでに施行されている法令を基準とする(時事的問題は出題の可能性あり)
つまり、基準日より後に施行される改正は、その試験の正解の基準にはなりません。一方で、時事的な問題が出る可能性はあるため、あとで施行される制度も「何がどう変わるか」だけは頭に入れておくと安心です。
受検時期ごとの法令基準日:受検する日で変わる
FP2級は学科も実技もCBT方式で、実施期間のあいだ任意の日に受けられます。ただ、同じ年度でも受検日しだいで、基準になる日が切り替わります。
- 日本FP協会の案内:2026年6月1日〜2027年5月22日の受検分は2026年4月1日(2026年4月1日〜5月23日の受検分は2025年4月1日)
- きんざいの案内:CBT(2級・3級):2026年4月1日〜5月23日=2025年4月1日、2026年6月1日〜2027年2月28日=2026年4月1日
- 次の年度の予定(日本FP協会の日程):2027年4月1日〜5月22日の受検分=2026年4月1日、2027年6月1日〜2028年3月24日の受検分=2027年4月1日(日本FP協会の2027年度日程)
今年度の実施期間は、次のとおりです。
- 実施期間:2026年4月1日〜2027年3月24日の各月(休止期間を除く)。2026年度から試験実施期間を拡大(2027年3月24日まで実施)
学科と実技を別の日に受ける人は、それぞれの受検日がどちらの基準日になるかを確認してください。5月下旬の休止期間(5月24日〜31日)をまたぐ予約は、とくに注意が必要です。
このあとの改正点は、基準日が2026年4月1日の受検を前提に読んでください。
2026年度に押さえたい改正点:年金・NISA・不動産
ここに挙げる改正は、基準日の2026年4月1日にはすでに施行・適用されているものです。この基準日の受検では、改正後の内容で答えます。
年金とNISAの改正点
- 在職老齢年金:年金が減額になる基準額(賃金と老齢厚生年金の合計。支給停止調整額)が、2026年4月から月51万円から65万円に引き上げられました(65万円は2026年度の額で、毎年度、賃金の変動に応じて改定されます)。出典:日本年金機構 在職老齢年金の見直し、厚生労働省 令和8年度の年金額改定
- 国民年金の保険料:2026年度(令和8年度)は月額17,920円(2025年度は17,510円)。出典:厚生労働省 令和8年度の年金額改定
- 老齢基礎年金の満額:2026年度(令和8年度)は、昭和31年4月2日以後生まれの人で年額847,300円(月額70,608円)、昭和31年4月1日以前生まれの人で年額844,900円(月額70,408円)。出典:日本年金機構 老齢年金ガイド 令和8年度版
- つみたて投資枠の対象商品:指定指数に連動しない公募株式投資信託の要件が、「主に株式に投資するもの」から「主に株式又は公社債に投資するもの」に変わりました(2026年4月1日から適用)。出典:金融庁 非課税口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に関する基準の一部改正
不動産の改正点
不動産の分野には、区分所有法や登記、不動産にかかる税金の改正があります。数字の入れ替わりが多いので、改正前後を並べて確認しておきたい部分です。
- 区分所有法(マンションの集会の決議):共用部分の変更や規約の設定・変更・廃止の決議(各4分の3以上)が、区分所有者と議決権の総数を基準にする形から、区分所有者の過半数で議決権の過半数を持つ人が出席し、出席した区分所有者とその議決権を基準にする形に変わりました(2026年4月1日施行。建替え決議の各5分の4以上は総数が基準のまま。耐震性不足などの建物の建替え決議は4分の3に緩和)。出典:e-Gov 建物の区分所有等に関する法律、法務省 区分所有法の新旧対照条文
- 住所等の変更登記の義務化:不動産の所有者(所有権の登記名義人)は、氏名や住所に変更があったとき、変更日から2年以内に変更登記を申請する義務があります。正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象になります(2026年4月1日施行)。出典:法務省 住所等の変更登記の申請義務化
- 不動産取得税の免税点:土地は16万円、建築による家屋は1戸につき66万円、それ以外の家屋の取得は1戸につき34万円に引き上げられました(改正前は10万円、23万円、12万円。2026年4月1日施行)。出典:e-Gov 地方税法
所得税の控除の改正:施行日が基準日より後になる点に注意
所得税は1年単位で計算する税金で、ここでは2026年分(令和8年分)の値を示します。
- 施行日と適用:基礎控除と給与所得控除の最低保障額の引上げは、原則として2026年12月1日に施行され、2026年分(令和8年分)以後の所得税に適用されます。出典:国税庁 令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について
この施行日は、法令基準日の2026年4月1日より後です。そのため、試験でこの改正後の値と改正前の値のどちらを基準に答えるかは、ここでは決めつけません。受検する試験団体の案内や公開されている情報で確認してください。
- 基礎控除:2026年分(令和8年分)は、合計所得金額489万円以下で104万円(62万円に42万円を加えた額)、489万円超655万円以下で67万円、655万円超2,350万円以下で62万円。出典:国税庁 源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)、国税庁 No.1199 基礎控除
- 給与所得控除の最低保障額:65万円から74万円に引き上げられました(74万円は2026年分・2027年分の額)。出典:国税庁 源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)
課税所得の計算では、所得控除の額がそのまま結果に響きます。計算の手順を覚えるときは、「どの年分の控除額を使う問題か」を問題文から読み取る習慣をつけておくと、改正の影響を受けにくくなります。
基準日より後に変わる予定の制度:iDeCoなど
こちらは、2026年4月1日の時点でまだ施行されていない改正です。この基準日の受検では、施行前の制度で答えます。
- iDeCo:iDeCoの加入可能年齢の引き上げと、iDeCo・企業型DC・国民年金基金の拠出限度額の引き上げは、2026年12月1日に施行される予定です。出典:厚生労働省 2025年年金制度改正法
- 未成年のNISA:2027年1月1日から、つみたて投資枠の年齢要件がなくなり、0歳から17歳も利用できるようになります(現在は利用する年の1月1日時点で18歳以上が対象)。出典:金融庁 NISAを知る、国税庁 源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)
- 復興特別所得税と防衛特別所得税:2027年1月1日以後に生ずる所得から、復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%に下がり、あわせて防衛特別所得税が創設されます。出典:国税庁 源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)
iDeCoは、年金の分野とタックスプランニングの両方に関わる定番の論点です。基準日より後の施行でも、「いつ、何が変わる予定か」は整理しておきましょう。基準日が2027年4月1日の受検からは、その日までに施行された改正も対象に入ります。
改正に振り回されないための準備
- 手元の教材が自分の受検日の基準日に合っているか、発行年やアプリの更新日で見ておく
- 金額や割合は、時点や年分といっしょに覚える
- 改正のあった論点は、前の値との違いを一言でメモしておく
- 学科と実技を別の日に受けるなら、それぞれの基準日を予約時に確認する
学習計画はFP2級の勉強時間と進め方、予約の流れはFP2級の申込とCBT予約のやり方、実技の形式はFP2級の実技試験にあります。3級の基準日はFP3級の法令基準日と2026年度の改正点にまとめています。
シカモン FP2級での法令の扱い
シカモン FP2級は、図の教科書と問題集をひとつにしたFP2級アプリです。内容は2026年4月1日の法令基準日に合わせています。所得税のように年単位の計算は2026年分(令和8年分)の値で、基準日より後に変わるものは、基準日時点の内容で説明したうえで変更の時期を添えます。法改正があればアプリ内で更新します。
制度や法令は今後変わることがあります。食い違いがあるときは、出典に挙げた公式ページを優先してください。

